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抽象ライト

サブストーリー

1部 ヒアシ視点

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 赤い髪と目をもつ主人公の名前はヒアシ。生き別れ行方をくらました双子妹の「エリ」を探していた。ありとあらゆる手を使って探したが見つける事はできなかった。

 

 ある日日本政府から軍の内部調査の依頼を受け多、額のお金と引き換えに調査を承諾した。そしてい調査当日を迎え、城狐に変身の術を施してもらい、ラボに務める技術者として侵入に成功する。数日が経ち、軍の強さを見極めようと施設の一部を炎で包み狼煙を上げた。

 

 ヒアシはルイと合流するために施設の合流地点まで移動をした。ところが1人の隊員が執拗に話しかけてくる。その声はだんだんと近づいてきて、顔を覗き込んできた。そこにいたのは妹のエリだった。妹が軍にいるはずがない、どうしてここにいるのか、生きていて良かった、不安と安心感が体を埋め尽くした。「ずっと会いたかった、エリ」久しぶりに会った妹から帰ってきた返事は「私はエリス。人違いじゃないの、」

妹は殺意を持って切りかかってきた。

 

 妹を痛ぶるような事はできない、体は重く、躱すのに精一杯だった。体を動かす気力は無くなり、床に倒れ込んだ。エリは大きく振りかぶり自分にトドメを刺そうとした。そこに駆けつけたのはルイだった。ルイはエリに仕返しかのように攻撃し続けた。ルイは妹を追い詰め首をめがけて振りかぶった。俺を忘れているだけかもしれない、殺さないでほしい。ヒアシはエリを庇った。彼らしくもなく考えるより先に体が動く。

 

それでも妹の形をした彼女を守りたかったのだった。

1部 ヒアシ視点

​ヒアシ 過去編

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 時は大正時代10月31日。伊勢神宮の本殿は老朽化し、封印から解かれた体は9歳まで退行してしまっていた。

 双子は灯りを求め街をめざし境内を出た次の瞬間、本殿は大きな炎で包まれた。厄災の原因とされている彼らが境内を出たと民衆に知らせるための仕掛けだったのだろう。放火犯とされ半ば追い出される形で伊勢を出て、伊勢から遠く離れるために東京行きの船に転がり込んだ。

 数百年ぶりに見た町はすっかり形を変えていた。見慣れない服装に建物、金も親も家もない、初めての孤独を味わった。道端で座り込んでいたところ若い女性が声をかけてきた。「親御さんはいらっしゃらないのかしら、今日だけといわず私の家に来ませんか。」と。優しい目で見つめる”フミコ”という女性と、夫とみられる男性は双子を迎え入れた。その夫婦の生活はとても豊かなものだったが、子供ができず苦労していたそうだ。双子を正式に養子として迎え入れ、家族として生活することになった。親のと受け幸せを感じる日々だったが幸せもつかの間、フミコは病に倒れ息を引き取り、エリはフミコの代わりに置屋に強制的に入門することになった。エリとヒアシは切り離され、以降二人が出会うことは二度と無かった。

 

 家に残ったのは”お父さん”とヒアシだけだった。父は跡取り欲しさに養子にした事をヒアシに打ち明け、礼儀作法に勉学と様々な教育を施した。さらには女のいないこの家の家事を押し付けた。「飯がまずい」「風呂を沸かせ」仕事と妻の死からくるストレスの一切をヒアシにぶつけるのがこの家の日常とかし、その言葉は心を深くえぐった。

 

 そんなある日、ルイという男が家庭教師として雇われ始めた。従来の講師と違い変わっていたルイは、勉強そっちのけで今日あった面白いことを話してくれたり、夏にはスイカを持ってきてくれたりと、まるで友達かのように接してくれた。派手な赤髪に加え、整いすぎたともいえる顔立ちによって孤立していた彼にとって初めての友達だった。だが父親が帰ってくれば現実に引き戻され、”いつもの日常”が戻ってきた。ヒアシはとうとう自分の悩みをルイ打ち明けた。返ってきた返事は考えてもみなかったあること、「邪魔とは思ったことないの?そんなお父さんって必要ない」と。要は殺人の提案だった。ルイは冗談のつもりだったが、ヒアシは提案を肯定した。

 

 秋の終わりごろ、ヒアシはいつも通り食事を作った。このあと殺されるとも知らず呑気に食事をとる父親姿は、彼の眼に哀れに映った。台所から包丁を取り出し、腹を一突き刺した。初めて感じた父のぬくもりは赤黒く、ヒアシは父親の全身を炎で覆った。あれほど横柄な態度をとっていた父親は火だるまになりもがくこと以外できないようだ。焼けた喉から発せられる罵倒の言葉は彼の耳に届くことは無かった。家に飛び火し勢いを増していく炎のなかで、父を力ずくで蹴り続けた。

「これが天罰だ」

ヒアシ過去編
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